160円を突破して日銀が介入も2024年5月1日現在、158円近辺でウロウロとしております。
最近円安について色々有識者の所見を読み込んでいるのですが、円安と円高を対照的に論じる所見がイマイチ腑に落ちませんでした。
その一番の???は「円高時も為替介入したのだから、円安時も為替介入して適正な為替レートに誘導すれば良い。」というものです。
これの1番の問題は、、、
円高=ドル安であるため、円でドルを買ってドルの価値を高める。
円安=ドル高であるため、ドルで円を買って円の価値を高める。
です。
日銀が「円でドルを買う」は、「自分で刷った円でドルを買う=円の希薄化」です。そう、自分で刷れるのです。しかし、「ドルで円を買う」は「手元にあるドルで円を買う=ドルの希薄化」です。そう、自分の手元のドルで勝負するのです。
「円高=円が強い」は民主党不況云々ありましたが、それでも大多数の国民に恩恵がありました。自国通貨が強いということはそういことです。それとは逆に円安は一部輸出産業は恩恵を受けますが大多数の国民は逆に損害が発生します。単純にエネルギーや輸入品が値上がりするからです。日本の食料自給率は38%、エネルギー自給率は12%です。ちなみにアメリカの食料自給率は115%位でエネルギー自給率は105%位です。
なので「多数の日本国民」にとって恩恵があるのは「円高」です。日銀の刷る紙切れの価値が高くなるのです。「円安」はその逆です。
2000年代を「円高不況」とまとめることが多いのですが、実態は違います。実態は「膨れ上がる社会保障費不況」です。
有名な資料ですが、社会保障費が対GDP比で1990年で10%であったものが2010年で20%まで増えています。これが不況の根本的原因です。そしてそれが未だに続いています。
そういった社会保障の構造を日本はそれなりに壊れるまで変えることができないのではないか?と海外勢に疑われ始めているのが今の円安の根本の原因です。
4月28日に衆議院補選があり、更なる社会保障バラマキを掲げる野党(=高齢者支持政党)が圧勝しました。自民党にとって逆風であったためこの補選の結果は予想はできましたが、その次の日の29日にちゃんとその筋の人達は仕掛けてきました。
この辺りの多数の日本国民のメンタリティやそれに沿う形でしか政策を実行できない政府の弱腰がバレてしまったが故の「円安」であるかと思います。
と、ここまで海外勢主導の円安みたいな感じで記していますが、「先々も慢性的財政赤字を解消できない日本」ということを衆院補選で悟ったブルジョワ日本人が一番円売りしている可能性が高そうなんですけどね、、、。
とにもかくにも、円高と円安は対照ではない別物で、円安による経済状況悪化はガチの国力衰退であり、それは円高で恩恵を受けていた層が損失を被るという「多数の損失者」を発生させるものであり、結果、それに気付いて資産形成した層とそれをしなかった層で格差が相当拡がると思います。嫌な未来ですが、それが現実だと思われます。