FRBパウエル長官が利下げの意思を明確にしたことにより、為替が若干円高に触れています。これで相場は、「利下げの幅」に焦点が当てられることになり、現在、年内二回(9月12月)、幅は0.25%ずつ、というのが多数派のような風潮で、もう一段上の利下げ(12月に0.5%とか)もあり得る、みたいな話もチラホラ出ています。
日銀は上田総裁が内田副総裁と意見の齟齬はないと明言しました。これは「金融市場に混乱を与えるような利上げはしない」というメッセージなので、今後は小出しに利上げについて発言してくるだろうと思います。そして、7月の消費者物価指数が一応それっぽい数字を出しましたので、9月の利上げもあり得る、と市場は織り込みにいっている感があります。
これだけ円高に触れる材料があるのですが、この前の円高局面であった141円を割り込むようなことはなく、144円台で推移しています。これはやっぱり日米為替は金利ではない別の要素で動いている、、、と考えるのが妥当かと思います。
為替と貿易サービス収支の関係をグラフから考える
こちらのグラフ、自家製ですが、貿易サービス収支と為替の関係を月次ベースでグラフ化したものです。スタートは1996年1月で直近の2024年6月までのデータを反映させています。
これからぼんやりとですが見えてくるのは、「貿易サービス収支の現実が出た後に、為替が動き出す」ということです。すなわち、先に貿易サービス収支が決まり、その後に為替が追い付く、という感じです。為替は現実を見て動きだす、ということです。先取りはしないんです。これは多分実需ベースでのやり取りが為替に反映されていくからかと思われます。
もちろんその中で投機的な動きも出てくるのですが、大きな相場で見ると、前述のような動きになるのだろうと思われます。
そうすると、貿易サービス収支がマイナスに転じている期間や大きさが最近は相当目立ちますので、大きな流れとしては「円安」である、と思われます。
そして、この流れを変えるには「貿易サービス収支の黒字化」というのが必要なのですが、、、
・原発再稼働時期のメドが立っていない
・クラウド使用料を公的機関も海外勢に支払う
・基幹産業である「車」の限界(中国の攻勢)
・絶対就業者数の減少が加速する
と、到底黒字化が見えてこないため、やはり当面の間は円安に向かうのだろうと思います。
アメリカと日本の人口構成比を見ても、どう足掻いても円高になるとは思えず、アメリカ的には「日本はもう産業的に欧州化したので怖くない。狙うは中国のみ。でもインドはちょっと注意。」という戦略になるかと思われ、円安についてはアレコレ言わないのでは?と想像しています。
日本は順調にポルトガル・イタリア・スペイン化に向かって出航している、、、という判断で問題ないかと思っています。
そしてその取り敢えずのゴールが220円くらいなのかな?とぼんやり想像しています。2030年くらいかも知れんけど、、、。